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11/11/2013

特定秘密保護法という、子供じみているからこそ危険な茶番


特定秘密保護法が制定されれば、国民の知る権利が阻害される、言論弾圧法になりかねない可能性があるのは、理の当然の話だ。

にも関わらず、言論の自由や知る権利と、国家の利益を守る情報安全保障のどちらを優先すべきなのか、そのバランスはどうとられるべきなのか、という本来の論点は、この法案の制定をめぐる議論でほとんど意味を持っていないし、今後持つこともなさそうだ。

この法案が今抱えている問題、それがポテンシャルに危険性だらけなのは、このような本来議論されるべきまっとうなレベルではなくそれ以前の、もっと根本的な倒錯にある。

そもそも、立法目的はなんなのか?

国家機密を狙うスパイ活動をやる者が、その行為が違法であるか合法であるかにこだわると思っているだけでも、それこそ椅子から転げ落ちるほどの驚くべき平和ボケである。

この法案は日本が「スパイ天国」であることに対応するための立法などではまったくなく、ただ「対応していますよ」というポーズを取りたいがためだけに、国会ですったもんだやっているのである。

いや安倍晋三首相は、この違いすら分かっていないのかも知れない。 
その意味でも、そもそもこんな法律は、作るだけ無駄なのであり、国会の審議時間の無駄、まず国費の浪費だ。

日本がしばしば「スパイ天国」と揶揄されるのは、確かにその通りである。

我が国の政府は情報管理がずいぶん下手くそかつ杜撰であり、なにが守られるべき機密でありなにが活用されるべき情報なのかもよく分かっていないどころか、法律の制定以前に、こと外交分野では、「絶対に出してはいけない情報」「公開・公表・公言されてはいけない話」が、平気で外に出てしまうことすら多々ある。

機密であるべきが当然のことが、それも政府関係者や政治家の気まぐれや、その場限りの人気取りですぐ公表されてしまう…

…というより、それが機密であるべきこと、言ってはいけないことだという認識がそもそもない。あまりに世間知らず過ぎて、区別すらついていないようにしか見えない。

なにが「言ってはいけない」ことなのかすら分かってないのに、懲役の罰則で脅すだけでは無意味で効果がないし、刑罰で脅さなければポロポロ機密を漏らす、守秘義務の意味すら分かっていない公務員ばかりなのだと、世間様に向けて公言しているような話だ。

小泉訪朝の以前に、元首相の森氏が拉致問題について、被害者がヨーロッパの何処かの国で突然見つかったことにすればいい(つまり北朝鮮側がこっそり被害者を東欧のどこかで解放する)、と言ったことがある。

うむ、なるほど、両国のメンツを潰さずに済むという点で賢い解決策だった。だが森氏は一点だけ、根本的かつ絶望的に間違っている。

あくまで秘密裏にやらなければ成立しないやり口を、日本の重要政治家が公言してしまったら最後、その手は絶対に使えなくなる。実行したところで、メンツはもはや守られず、「ああ、そうやったんだね」と思われるだけなのだから。

田中眞紀子氏が外務大臣だったとき、オーストラリアの外相とのクローズドの会食で、真紀子氏が当時のブッシュ政権について率直な疑問を呈したことが、マスコミでデカデカと報道された。これが真紀子氏を更迭するための世論操作目的の、外務省による記者クラブ会員社への意図的なリークだったのは、誰が見ても分かる話であり、現に真紀子氏がマスコミに責め立てられ更迭に追い込まれる、大きな原因のひとつになった。

外交機密費問題に切り込もうとしたり、官僚レベルではなく日米ならば外相個々人のレベルでの信頼関係を構築しようとした真紀子氏は、外務省にとっても霞ヶ関全体にとっても、邪魔だった。「こんな外交が分かっていない外相は国益を損ねる」と、彼らは信じて疑わなかったに違いない。

だがこのクローズド会談の内容をリークした外務省関係者は、情報安全保障の基本中の基本において、根本的に間違っていたし、それを大々的に、コンテクストも理解せず報道したメディアも、その国益の損ね方、日本の国際的な信頼のぶっ壊し方は、およそ田中氏を責められる話ではない。「お前らこそどこまで非常識なんだ」という話である。

高官どうしのクローズドな会談は、内容が公開されないからこそ際どい話も含めて突っ込んだ議論や情報交換がなされる場だし、そのためにこそクローズドに、国家機密扱いにしているのだ。そのような場では日本側にせよオーストラリア側にせよ、ブッシュ政権に気兼ねして遠慮した話などしないし、オーストラリア政府にしてみればこのリークは、信頼を損ねる裏切り行為に等しい。

なにしろ日本の外務省の省益のため、日本国内の権力闘争のために、オーストラリアの外交機密がおおやけになってしまったのだ。普通に怒るし、非難声明などを出すまでもなく、「あの国は信用できない」と思い、以後はその教訓を実践するだけだ。

鳩山由紀夫氏がオバマ米大統領の来日時に「トラスト・ミー」と言ったという話だって、本来なら両首脳のどちらかの口から以外では、絶対に公表されてはならない情報だ。
この件でもマスコミは鳩山氏を責めまくり、まんまと霞ヶ関は鳩山氏を首相の座から追い落とすことに成功したわけだが、非常識で平和ボケで「宇宙人」が国益を損ねたのは、首脳間の私的な会話をリークした官僚とそれにのっかたメディアであって、鳩山氏ではない

なにが守られるべき情報なのかの区別も出来ない、その最低限の常識に基づいた判断力も持たないほど官僚の教育がなっていない時点で、「この法律を決めれば情報がきちんと守られる」と思い込むこと自体がナンセンスであり、本末が転倒しているのである

これこそが特定秘密保護法案の、実際の政治状況下における最大の問題点であり、危険性だろう

そもそも法案を提出している側が、なにが国家機密であるべきなのかさっぱりなにも考えていないし、それをどう守るのか、たとえばマスコミの疑念や追及をどう逸らすのかなども、まるで分かっていないのだ。

まして彼らは、国家機密指定というものの機能すら分かっていない
たとえばイスラエルは核保有の有無自体を、国家最高機密にしている。実は核兵器なんて持っていない、そんな資金も技術も持っていないのかも知れないが、核保有の有無自体が国家最高機密である時点で、誰もがイスラエルが実は核武装しているのだ、という前提で安全保障政策や外交方針を決定する。
逆にそういう効果を狙うのでなければ、国家機密は、機密が存在することすら厳重に隠されなければならない。 
「機密にしている」=「なにか後ろ暗いことがあると怪しまれる」のもまた、理の当然だからだ。 
それをわざわざ大袈裟に、かつおおっぴらに法律で決めるとか言い出しているのだから、もうなにをか言わんやの平和ボケ、外交音痴どころか安全保障も、国際政治における情報の重要性もまったく分かっていない

「スパイ天国」状態を解消するのなら必要なのは組織を作ることでも法律を決めることでもない、人材の育成と情報管理教育の徹底だ。それなしに、国家機密を運用したり守ったりは出来ない

「日本に機密を守る法制がないから各国が信頼せず機密情報をもらえない」と言い張る、日本版NSC構想に絡めて政府が言い出していることも、ちょっと考えればナンセンスそのものだ。

各国が自国の情報安全保障に鑑みて情報提供を渋るのは当然、国家機密なんてみだりに他国に提供するものではない、という当たり前のことが、日本政府や安倍晋三には分かっていないらしい。

同盟国だろうが、利害が常に完全に一致するわけもなかろうに。どこまで無邪気に子どもっぽく、米国を学校の先生かなにかと勘違いしてるのだか。

戦略上、共有がどうしても必要な情報でも、それがなされないことが仮にあるにしたって、それは法律の有無の問題ではなく、日本政府の情報管理能力が信頼されていないからだ。

それを「情報を漏らした公務員は懲役10年になるから、これで大丈夫です」って、これほどの前科を政治指導者レベルや官庁ぐるみで繰り返して来た上に、どうも刑事罰で脅さなくては情報を漏らしてしまう程度に守秘義務の意識がなっていないらしい(だってそういう法律ですよ)日本の役人を、それこそ諸外国が信頼するわけがない。

しかも「各国が信頼せず機密情報をもらえない」と自民右派を中心に言い張っている言い訳というか実例が、たとえば今年初頭に日揮のアルジェリア駐在の社員や重役が人質に取られたテロ事件で、巻き込まれた日本人の安否確認の情報すらアルジェリア政府がなかなか提供しなかったことだったりする。

こんなこと言っていては、ますます「こんな平和ボケの日本政府に機密情報を渡して大丈夫なのか?」と各国は心配するだけなのだが

日本に情報を出すもなにも、アルジェリア政府自体の情報確認がなかなか出来なかった、困難を極めただけだ。

まったく、日本の政治家も官僚もマスコミも、どこまで平和ボケなのか?
砂漠のど真ん中の僻地にあるプラントでの武装反政府ゲリラ集団との衝突である。現状把握だけでもどれだけ困難を極めるのか、遺体が見つかっても身元確認の照合がどれだけ手間取るか、ちょっと考えれば分かるだろうに。
だいたい日本人の安否情報なんてアルジェリア政府が隠すべき機密でもなんでもない、むしろ出来ることなら真っ先に、向こうだって知らせたい、知らせなければ自国の信頼が失墜し、重要な外交関係を損ねると分かっている情報だ。
それを「アルジェリア政府が隠した」と言わんばかりの言い草が、どれだけ相手国に非礼で、外交関係を損ね、日本の国際的な信頼を失墜させるのか、考えもしないのだろうか?

だいたいこの人質事件の際には、それでなくとも安倍晋三首相の政権は世界の失笑を買っている。だいいち安倍氏の東南アジア外遊の切り上げにこの事件をいいわけに利用しただけでも、国際的な信頼を損なうを通り越して噴飯もの、呆れて笑うしかない話だ

なにしろこの首相閣下、相手国の神経を逆撫ではするわ、国際的な立場(たとえば対中関係)を邪魔するわで、ハタ迷惑なだけの極右歴史修正主義を振り回しながら、自国の利益でも相手国の利益でもなく、アメリカの国益のためにアメリカのTPP構想に従うよう説得して廻るという間抜けっぷりだったのである。どれだけ日本との友好関係を重視する東南アジア諸国でも、さすがに呆れてまともに相手にされず成果ゼロ。さてどうしたものかと官邸も外務省も迷っていたところへ、テロ事件発生で緊急帰国という格好がついただけに過ぎない。

むろんアルジェリアで起っている人質テロ事件に、安倍が緊急帰国しようが外交日程を予定通りこなそうが、出来ることなんてなにもないのだから、本当なら外交日程を重視することが常道だ。

しかも自分のメンツを保つ為に官邸と外務省の官僚が苦しい手に出ただけで、自分はお役人に守ってもらっただけだ、とはまったく自覚出来ていなかった安倍首相閣下は、アルジェリア大統領との電話会談で、あろうことか「断固としてテロと戦う」と合意しておきながら、「人命優先」を要請したのである。

呆れてものも言えない。

「断固としてテロと戦う」とは、日本人の犠牲を覚悟して反政府武装勢力ないしテロ組織の鎮圧を最優先する、という意味にしかならない。こんな矛盾したこと言ってどうするつもりだったのだろう、安倍首相は?

日本政府がこの事件で、関係各国からの信頼を失ったのは確かだが、それは決して国家機密に関する法制度が整備されていなかったからではない。

そんな日本国内の手続き論を、各国の外交当局は気にしているのではない。重要なのは自国の提供した機密や、外交関係における自国のメンツを、日本政府が果たして実際問題としてちゃんと守ってくれるのかどうかであって、法制度の形式論を整えて「これでいいでしょうか?」という態度なんて相手にされない。

日本がアルジェリアの人質テロ事件で国際的な信頼を失ったのは、自国民の生命安全や経済的利権ですらなく、たかが自国の首相の失態を隠す為に事件を利用したことと、その失態を反省すらしていない安倍首相本人があまりにバカなことを言ったから、である。

まったく、他国との関係や駆け引きを、学校の先生かなにか相手の関係と勘違いしているのだろうか? 
「先生に言われた通りにやりましたから、ほめて下さい、認めて下さい」じゃ済まないんだってば。 

あるいは、日本は機密管理がルーズだという実例で挙げられるのが、菅直人政権当時の尖閣諸島騒動で、日本側が一方的に問題にした中国の民間漁船の拿捕をめぐる海上保安庁の記録ビデオが流出したことだ。

冗談も休み休み言って欲しい。田中眞紀子氏をめぐる外務省の情報リーク、鳩山由紀夫政権を退陣に追い込んだ「トラスト・ミー」発言や徳之島との秘密交渉のリーク報道と同様に、この尖閣ビデオ流出だって、官僚機構が世論操作を目的にわざとマスコミが大々的に騒ぐように流した「機密」であり、記者クラブ会員社と官邸や外務省が申し合わせて仕掛けた話だろうが

そもそもあのビデオを本気で冷静に分析すれば、あの騒動全体が日本政府による「やらせ」だったことが分かる(しかもその「やらせ」で目論んだことは、完全にアテが外れてしまった)。 
もちろんリークさせた方もそれを喜んだ側も、TVではその映像が編集されることも計算に入っている。 

Youtube上に「漏洩」した「機密」映像をしかるべき人間が見れば分かるはずのことだが、海上保安庁が突然漁船を包囲したので、普段なら警告を受けたら領海外に逃げるだけで済んで来たはずの漁船側がパニックになった、保安庁の船に体当たりするようにほとんど誘導されていた、と言っても過言ではない。 
だがTVではその全体は決して見せられないし、ネット上でも全フッテージを見る人なんてほとんどいないし、見方が分からない人がほとんどだ。 
なんと安直な世論操作であったことか。

国家機密を指定し、それを保護することに懲役刑を含む罰則を決めることは、ポテンシャルにとても危険なことである。

ところが特定秘密保護法案を提出している側は、なにが国家機密であるべきなのか、それを保護するとはどういうことなのかすら、まるで深く考えてすらいないし、だからそれがどれだけ危険でどんな弊害があり得るのかも考えていないのだ。

特定秘密保護法案自体が、ただの茶番なのである。

国家の重要な利益や安全を守るための情報管理以前に、この人たちは国家の重要な利益や安全とはなんなのかが分かっていない。なのに恐ろしく無邪気に、自分達のほんとうに利害ですら実はない、単なる上辺だけの保身や幼稚な感情の担保を、国家の利益や安全と勘違いしている。

安倍首相たちと来たら最悪、自分たちに都合の悪い情報が流出すること、自分達が馬鹿にされることが国家の利益や安全に反すると言わんばかりだ。

いや確かに、国家の政治指導者が国際的に馬鹿にされたり、悪評が喧伝されることは、国益に反する。だがそれ以上に国益に反するのは、その国家の政治指導者が国際的に馬鹿にされても当然で、悪評が立ってもしょうがないほど愚かなことだ。

これでも元大臣かよ、と呆れるしかない小池百合子議員に至っては、首相動静つまり首相の公的な活動すら機密であるべき、とか言い出し、さすがに菅官房長官も官邸記者会見でおおやけに否定するハメになった。  
 まったく「国家機密」「国益」を論ずる人たちの、なんと口の軽いことか。

なにが国家の安全や利益を守るために秘密でなければならないのか?

たとえば極めて厳重に国家機密を管理しているアメリカ合衆国では、すべての機密は50年以降、順次公開されなければならない。将来的には機密指定が正しかったのかどうかが確実に検証できるようになっているだけでも、なんでもかんでも都合が悪いからというだけで、機密にするわけはいかない。

国家政府たるもの、タテマエだけの問題にせよ、そこまであからさまに不道徳で、しかも馬鹿にされて当然なほどの幼稚な自己中心主義丸出しでは、成立しない。

ところが公文書の公開制度や、情報公開のシステムがあまりに杜撰な日本では、そんなことは期待出来ないどころか、歴史問題で日本に都合の悪い過去があるなら、その歴史文書すら「国益を損ねるから機密だ」と言い出しかねないのが、安倍首相たちである。

確かに国家の安全や利益に関わる秘密を守ることは、多くの国民の生命や財産を守ることに繋がる…場合もまあ、確かにある。

だがそれだけをもって「正義」とは言えないのが人間の世の中だ。「正しいこと」や「真実」ないし事実は、そうした人間の都合を超越している。「これが我が国の利益だ」と言い張ったところで、嘘は嘘なのである。

その線引きが分からない、自分の都合と正義を混同してしまう、幼稚で社会的な認識の低い人間に、「これは国家の利益に関わることだから秘密にしておこう」と決める権限を与えることこそが、確実に国家と国民の利益を損ねる。

確かに現実の世界は正直なだけではやっていけない、生き馬の目を抜く残酷さも持ち合わせている。

だが一方で国家はその社会を維持するために一定の倫理的規範を保たなければ、その国の法を守ることにすら説得力がなくなる上に、自己中心的に過ぎて平気で身勝手な嘘をつく、それもハタ目にはすぐバレるような嘘をつくようでは、外交で信頼もされないどころか、説得力もない。

そんな基本的な「国家とはなにか」の観念すら喪失しているのが今の日本であるようだ。

ゲッペルスは「嘘も百回言えば真実になる」と言ったが、そんなのはその場限りで、その嘘を信じたい人間が、「これが真実だ」という幻想を共有することになるだけのこと、同じ共有幻想に引き蘢った共同体の内輪限定で、他者、他人には関係ないし、通用するわけがない。

たとえば、外交や、それこそ戦争であれば、相手国には相手国の都合や戦略があって当然だ。

ところが今の日本には、この「他者」、他人様は他人様であって我々の欲望の延長に存在するわけではないという、当たり前の人生や人間社会、世界そのものの認識が欠如している

たとえば、都合の悪い過去を機密として隠蔽したり、それを口にする者を弾圧して黙らせようとしたところで、結局は通用するはずもない。事実は事実、歴史は歴史、過去は過去なのだ。隠したからって変えられるわけもない。 
ところが、在日コリアンに「特権」があるとかいう偉く珍妙な主張で新大久保やら大阪の鶴橋やら、各地の朝鮮学校の周囲で「街宣デモ」と称していやがらせをやる連中も、それを「ヘイトスピーチはやめましょう」と言っている自称「反差別運動」も、日本が朝鮮半島と朝鮮民族を植民地支配した歴史、戦後もずっと在日を差別して来た歴史を、在日コリアンや韓国、北朝鮮が口にしたら、「それは反日のヘイトスピーチだ」と言い張る人たちだったりするのだから、これはもう政治家やメディアがおかしいだけではない。
自分達が多数派のつもりの独りよがりで、こんな差蔑の暴力で脅して他人をどんなに黙らせようとしようが、歴史的事実は歴史的事実であり、嘘や捏造は嘘や捏造はでしかなく、同じ幻想を共有する内輪でしか通用しない、外の世界では相手にもされない幼稚な自己中心主義でしかないいことが、なぜ分からないのだろうか? 
日本国内の内輪のわがままでだけで 、ネット上で駄々をこねたくらいで、「反日だ」等といくら騒いだところで、誤摩化せるわけがない。 
そもそもあなた達が「日本人大衆」気取りで「多数派」の気分でいられるのは日本国内だけ、いやそれも現実には、あなた達の内輪だけに過ぎない。
ところがどうも、昨今の日本の「意識が高い人々」は、そんな当たり前の世界の認識すら欠如しているらしいのだが、「日本人大衆」をあまり馬鹿にされても困る。 

それにしても特定秘密保護法が成立したら、真っ先に、いちばん困るのは誰だろう、と考えると、案外これは決めるだけ無駄でなんの効果もない、形だけの法律になるかも知れない。いやまあ元から、法的な形式を整えたいだけの法律なのだが(どうも自民右派は、これが言論弾圧に利用できる法律だとすら気づいていないらしい)。

なにしろ直接に処罰対象となるのは、公務員が情報を流す行為であり、どの情報を流してはいけないのかの基準も曖昧なままだ。

今のままの議論では、政府側が言っている「第三者の有識者も参加して決める」云々が、実務の判断にはまるで使えない総花的なマニュアルにしかならないのも目に見えている。

結果どうなるのか?

官僚は今までのようにマスコミと結託した世論操作のために情報を流そうにも、暗黙の了解で行われるこうしたリークが、後から「特定秘密保護法違反だ」と責められることを当然恐れるようになる。

最悪、同じ省庁内のライバルから叩かれたり、各省庁同士の喧嘩に利用されかねないのだから、どうしたって慎重になるだろう。

そして政治マスコミが独自取材能力や洞察力を失ってサラリーマン化し、官僚化している、つまり報道のソースを官僚機構に頼り切っている現状では、特定秘密保護法違反を恐れて官僚の口が重くなられては、「言論の自由が脅かされる」以前に、大手メディアの日々の報道業務において死活問題になる。

なにしろ肝腎の報道するネタを、お役人が秘密保護法違反を恐れて提供してくれなくなるのであれば、今までのようにワイドショーで政局報道のエンタテイメント化も、今後はその材料が深刻に枯渇する。

これでは日本の政治・外交報道は破綻することになりかねず、困るのは確かに我々国民の知る権利のように見えて、実はそうでもない。

知る権利の方は、マスコミの取材能力が低下して官僚機構にのみ情報源を極度に依存するようになり、保守系もリベラル系も大手メディアはほぼ同内容の、金太郎飴な報道しか出来なくなった時点で、もうとっくに形骸化し、ほとんどなくなっているのだ。

実は特定秘密保護法で真っ先に困るのは、リーク情報やブリーフィングで結託して来た官民共謀の世論操作がやりにくくなくなる、霞ヶ関と大手メディアだ。

自分たちがいちばん困る、「言論の自由の侵害」以前に仕事そのものが成立しなくなる、自分達自身の首を締めることになる法律を、彼らはなるべく世間に注目させずにこっそり、穏便に通そうとしているのだから不思議だ。

なにが危険って、こんな人たちが、我が国の権力を掌握していることだ。極右や全体主義の蔓延以上に危険なのは、極右で全体主義を装うことが、頭の働かない、現実の観念の欠如した人たちのなあなあの共同体を許容してしまうことだ。

無能者たちの主導する甘えと身勝手のファシズムは、ただのファシズム以上に危険だ。

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