最新作『無人地帯 No Man's Zone』(2012)
〜福島第一原発事故、失われゆく風景、そこに生きて来た人々〜
第62回ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式出品作品
DVD 2月20日より発売!amazon.co.jp 配信はこちら

4/09/2009

ミサイル〜、ミサイル〜

…じゃなかった、人工衛星打ち上げだ。どっちにしろ技術的には近似しているから同じことなんだけど、だから「人工衛星でしょ」とアメリカも韓国も静観を決め込んだところで、我が日本国はどうしても「ミサイルだ!」と言いたいところ、なにしろアメリカ様の国防長官が「人工衛星みたいだね」と公言しちゃったので仕方なく「飛翔体」(笑)だってさ。なに考えてるんだろ?

世界経済が相当に大変なことになり、「日本経済のファンダメンタルは大丈夫」と首相が大見得を切ったとたんに、先進国中でももっとも経済の落ち込みが激しい(9〜12月でGNP前年比12%超減!)ことが明らかになって、さてどうしようというときに、ローマでのG8経済担当相会議では財務大臣が酔っぱらい会見、今度はロンドンのG20で首相が経済そっちのけで「ミサイル〜、ミサイル〜」とオバマ氏をストーカーし続け、「日本の自衛権は認めるけれどあまり騒がない方が」と言ってた韓国2MB大統領に無理矢理「支持する」と言わせ、中国主席には露骨に不快感、というか軽蔑を隠せない顔をさせてしまった。「無駄に騒いで話をややこしくするなよ。アンタ他にやることあるはずだろ?」って顔。

さらに我らが吉田茂の出来の悪い孫ときたら、アメリカの御機嫌取りのつもりで独仏を批判する発言を会議前にやってしまって、ただでさえまとめるのが難しかったG20を事実上なんの成果もない結果へと導いてしまった。ここで世界経済が少しでも上向きになるようにできなかったら、日本経済はますます大変なのにねぇ。それに「財政出動の意味が分かってない」って、年間GNPの1.6倍もの財政赤字を抱える国が積極財政を主張したって、逆に国民の不安感を煽って不況を長引かせることにもなりかねない。世界的に需要が冷え込むなかで、内需頼りの景気回復に選択肢が限られてしまっている現状なのに…。帰国したら15兆の財政出動はまだいいんだけどその財源が「赤字国債」って…。しかも内容がターゲットの定まらず方向性がまるで見えない選挙向け票固めのバラ撒き…。

要するに北朝鮮はミサイル実験で騒いで欲しいのである。世界経済危機は当然ながら、元々ズタズタだった同国の経済に大変な打撃を与えている上に韓国との関係悪化で見栄をはった結果韓国から入るカネもストップ。しかも国家指導者は病み上がり、だから騒いでなんとか現体制維持の保証を取り付けたい、経済協調と中近東問題とロシア・中国が主な相手の軍縮に外交のプライオリティを置くオバマ政権になんとか振り向いて欲しいわけ。体制保証と事実上の経済援助がどうしても必要だから。

しかし国連決議などがあるから「ミサイル」とは言えないのが苦しいところで、「衛星」と主張したらとたんに最初からどう無視するかを考えていたアメリカと韓国は静観を決め込み、中国も北朝鮮を支持するポーズをとりながら同調し、六カ国協議メンバーのうち3カ国はできるだけ無視することで一致していたわけなのだが、そこで空気を読めず戦略もなく騒いでいるのが日本国の政府とマスコミ。国民のほとんどは「騒いで欲しいんだから無視すれば。それよりも経済どうするんだ?」と思ってるのに、麻生さんと来たらこれで西松献金騒動で民主党の人気が落ちているのにさらに便乗して、支持率浮揚でも計ったのだろうか?

でもねぇ、せっかく今のところ中国が北朝鮮をある程度は制御できている状況が出来ているのに、ここでロシアがうまく割って入って後ろ盾を買って出たら、日本の立場はますます難しくなるんですよ。だいたい北朝鮮に対して厳しい姿勢をとるべきは、そもそも日本をターゲットにしてるわけでもない新しいミサイル(三年前に実験したミサイルですでに射程に入ってます)なんてどうでもよく、拉致問題だろうが。だいたい自国民を人質にとられていることの意味を、少しは考えたことがあるんだろうか?

別に公表する必要もない破壊命令まで公表し、防衛省の広報が精力的にマスコミに迎撃ミサイルの緊急配備の模様を取材させ…って、軍事機密に相当するような作戦内容を喜々としてマスコミに映像で流させて、頭おかしいんじゃないか? さらに閣内や官邸からも半ば呆れて「迎撃なんてできないよ」発言が飛び出すだけでもかえって首相の指導力が問われる上に、トドメはミサイル、じゃなかった「飛翔体」発射情報を誤報って、存在そのものが冗談なんだろうかこの政権って…。これで支持率落ちなかったら国民もよほど考えが甘い。

ただし麻生さんがあまりにも阿呆であることの怪我の功名かもしれないことがひとつだけ。結局日本が騒ぐせいで、経済対策でもアフガン問題でも日本のお金が頼りなので無視もできないオバマ政権もつき合わざるを得ず、騒がさせられてしまってさあどうすると思ったら、潮目を変えるとんでもないウルトラCの切り札! アメリカの大統領がこれまでなかなか言えなかった(しかも本人は前から言いたかった)核廃絶発言である。



もちろんこれまで公約でも核削減は言って来たことだが、ロンドンでロシア大統領と会談して軍縮も話し合ったと言われているところで、旧共産圏でもありソ連時代にいろいろあったプラハで、「核のない世界を目指す」と言い切れたことのインパクトは大きい。これでもう、日本と北朝鮮以外の国際社会にとって、人工衛星だかミサイルだかは過去の話である。いやお見事。



しかも日本への配慮も忘れていない。もともと日本は毎年、唯一の被爆国としてかっこうだけは核兵器廃絶決議を国連に提出して来ているわけだからそれだけでもアメリカのこの発言を歓迎して協力を宣言すべきだし、しかもアメリカ大統領としては禁句であることまで言ってくれた。「核兵器保有国のなかで唯一、核兵器を使用した道義的責任」! え〜っ。一瞬卒倒するかと思った。



いやよくぞ言ってくれた。秋には来日するそうだから、「ではぜひ長崎と広島にもご案内します」くらい日本国総理としては言うべきである。オバマだって「道義的責任」に言及した以上その覚悟は出来ていると見るべきだし、日本だってそこまで言えば、かつ広島市長も提案しているように核軍縮サミットの広島開催を言えば、国際社会のなかでの日本のインパクトも非常に大きいし、全く道義的に正しく反論のしようもない話だから、借りを作ったことにもならないどころか、憲法前文にあるような「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」のまさにその通りのプレイヤーにもなれるのに。

なのになのに、麻生政権の反応の鈍さってなんなの? しかも日本のマスコミもほとんど騒がない。その「名誉ある地位」を名実ともに占めれば、「我ら朝鮮民族の百年の敵である日本反動」だなんて北朝鮮も言えなくなるのよ。なんと不思議な国であることか。いったい何十万人殺されたと思ってるんだ。広島の平和の礎にはなんて書いてあったっけ? 「あやまちは繰り返しませんから」でしょう。滑稽すぎて涙が出て来る。

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